医者も知らない医学の新常識

近年は体に良くないとの報告も 乳製品は長生きの秘訣か?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 牛乳やヨーグルトなどの乳製品は本当に健康に良いのでしょうか? 昔は健康の秘訣のようにいわれていた牛乳ですが、最近ではむしろ体に良くないのではないかとする意見もあるようです。牛乳にはカルシウムとビタミンDが含まれていて、骨を健康に保つといわれていましたが、カルシウムを多く取っても、必ずしも骨粗しょう症や骨折の予防にはならない、というのが今の常識です。

 一方で乳製品には動物性脂肪が多く含まれていて、そのために血液のコレステロールを上げ、動脈硬化を進めるのではないかという意見もあるのです。それは本当でしょうか?

 今年のランセットという有名な医学誌に、それについての世界規模のデータが発表されています。世界各地の13万人を超える住民の食事調査を行い、乳製品の摂取量と健康との関係を長期間観察したところ、乳製品を多く取った方が、動脈硬化に伴う病気のリスクが、取らない場合と比較して16%低下していました。総死亡のリスクも17%低下していました。

 つまり、乳製品を取った方が病気になりにくく長生きでもあったのです。今回の研究では栄養状態の悪い地域で、特に乳製品の健康効果が強く見られていて、乳製品により栄養状態が改善することが、その長生き効果の主な原因であると考えられました。効率よく栄養を取るためには、乳製品は効果的な食品であるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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