子作り治療 最前線

がん治療の前に…精子や卵子を凍結保存するのが常道です

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 抗がん剤による卵巣機能不全は「化学療法誘発性無月経」と呼ばれ、患者の年齢と抗がん剤の種類によって20~100%の確率で起こるとされる。特に、乳がんや白血病、悪性リンパ腫などで使われる「アルキル化剤」という抗がん剤が、最も卵巣への毒性が強いという。

 放射線治療での卵巣への影響は、成人では放射線量が2.5~6グレイ程度、小児では10~20グレイ程度が永久不妊の閾値(いきち)とされる。

 代表的な治療では、骨髄移植前の全身照射、腹部や骨盤の照射。また、ホルモン調節をつかさどる脳への照射により、生殖ホルモンの分泌低下が生じる場合がある。

「女児ではがん治療後に月経が再開しても、卵巣予備能は回復しないので、妊孕性が低下している可能性があります。本人は、それを知らずに大人になり、結婚して、初めて問題に直面するケースが少なくありません。また、通常の人よりも早く閉経を迎える可能性があるので、妊娠の機会を逃す原因にもなります」

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