上下水道が整備され、清潔な食べ物を口にするようになるなど公衆衛生が整い、胃がんの原因となるピロリ菌の感染が減っている日本では、世代が若くなるほど胃がんがほとんど見られなくなっています。それに伴い、いまの医学生や若い医師は実際に胃がんを診たり、手術をする機会も減っているのが現状です。
ベトナムで見られる胃がんは進行がんが多いことと、医療費の関係から日本のような腹腔鏡手術や抗がん剤治療は縁遠いため、いまの日本では減っている通常の手術を学ぶことができ、若い外科医にとって大変勉強になります。胃がんについて、いくら教科書で勉強しても「百聞は一見にしかず」で、実際に自分の目で見て症例を経験しなければ身になりません。だからこそ、医学生や若手医師をベトナムに派遣し、いまの日本では経験できなくなっている病気に触れる機会をつくりたいと考えているのです。
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