天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

ベトナムは若手医師のモチベーションを上げてくれる

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 またベトナムでは、医学生が手術などの現場に参加できる環境にあります。米国、カナダ、豪州などの場合、治療に加わるためには現地のライセンスを持っていなければなりません。ドイツをはじめとした欧州も手間のかかる申請が必要です。そうした点から見ても、ベトナムは医学生や若手医師が学ぶ環境としてうってつけといえます。

■超高齢社会の日本は“お年寄りの病気”が多い

 さらに、日本の若い医師たちにとって、ベトナムはモチベーションをアップさせることができる場所ではないかと考えています。いまの日本は深刻な人口減少社会です。高齢化が加速していて、85歳付近の人口が最も多い、いわゆる棺桶型の人口構造になっています。そして、疾病に関してもその人口構造に即した状態になっていて、高齢者に多く見られる病気が増えているのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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