患者が語る 糖尿病と一生付き合う法

映画の糖尿病患者は事実とかけ離れた頓珍漢なものばかり

平山瑞穂氏(C)日刊ゲンダイ

 前から気になっていることを、ここでひとつ話しておこう。インスリンを使用している糖尿病患者が、映画などのフィクション作品でどう描かれているかである。

 本物の患者から見れば、的確に描かれていたためしがないと言ってもいいほど、それはしばしば誤解に満ちた描写になっている。

 たぶん、糖尿病患者は「インスリンがないと困る」「意識を失うことがある」という生半可な知識だけに基づいて描いているのだろう。メカニズムまで理解しているわけではないので、頓珍漢(とんちんかん)な描写になってしまうのだ。

 あえて作品名は掲げないが、典型的な例として、ある近未来物のアクション映画で描かれていた場面はこうである。

 外部との連絡が途絶えた閉鎖的な状況で、糖尿病患者である一人の少女が、インスリンを切らしてしまったためにぐったりしている。見かねた子供たちが、乏しい食料の中から彼女にチョコレートを差し出すと、彼女は「ありがとう」とかすかにほほ笑んで、力なくそれを口に含む。

1 / 2 ページ

平山瑞穂

1968年、東京生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年「ラス・マンチャス通信」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。糖尿病体験に基づく小説では「シュガーな俺」(06年)がある。

関連記事