独白 愉快な“病人”たち

筋ジストロフィーの小澤綾子さん「歌うことが生きる力に」

会社員で歌手の小沢綾子さん(C)日刊ゲンダイ

「どうせ治らないのに何でこんなことしなくちゃいけないの?」

 今から15年ぐらい前、リハビリを始めた当初は言葉にこそしませんでしたが、心の中ではそう思っていました。

 私の病気は「筋ジストロフィー」という筋肉がだんだん衰えていく難病です。ものすごいスピードで老化が進むイメージでしょうか。治療法も薬もありません。

 診断されたのは20歳。でも、「おかしいな」と思い始めたのは小学校4年生ぐらいのときでした。体育の授業で走るとき、脚の動かしにくさを感じたんです。鉛をつけたような重さがあり、それが徐々に増していきました。

 いつの間にか走り方や歩き方がおかしくなり、それをクラスメートに真似されてからかわれたり、「うつるから来るな」と言われたりするようになったんです。

 中学校に入ると、もう100メートルを走り切れませんでした。でも親を心配させたくなかったので、走れないことも、いじめられていることもずっと言えませんでした。

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