人は遺伝子の奴隷なのか

同じ環境で育った双子でも大半は同じ病気にならない

遺伝子は逃れようのない運命ではない?(きんさん、ぎんさん)(C)共同通信社

 それは双子を見るとわかりやすい。双子はDNAと遺伝子を共有し、子供の間はほぼ同じ環境で育つのに、大半は同じ病気にかからない。死ぬ時期もバラバラだ。

 有名な双子研究のひとつにスウェーデンの4000組の双子を36年にわたり追跡調査したものがあるが、一方が心臓の病気で死亡した場合、もう一方が同じ病気で亡くなる確率は、男性40%、女性30%。命に関わらない心臓発作での相関関係はさらに希薄だったという。一方で、米ニューイングランドの住人5000人を調査した研究では、幸せな人は幸せな人同士、不幸な人は不幸な人同士が集まって暮らす傾向があり、その傾向は遺伝子や家系では説明できなかったという。

 では、なぜエピジェネティクスが起きるのか? DNAは簡単には変化しない。そのため、ジャンクDNAなどが関係しているといわれている。DNAの98%はジャンクDNAと呼ばれ、古い遺伝子の断片や反復しているような領域がある。かつてはその存在理由がわからず、遺伝子としての役割を果たしているのは残り2%の領域に書かれた約2万2000個の遺伝子だけで、あとはゴミだと考えられてきた。

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