がんも治療可能な時代 病院が風邪治療に消極的なのはなぜ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「このため多くの医師は風邪はすぐに通り過ぎる、軽い病気という認識があります。風邪という軽い負荷をかけることでヒトの免疫機能が鍛えられると考える医師もいます」

 ライノウイルスの場合、体内に侵入して風邪症状が出るのが10~12時間ほど。感染2~3日で症状のピークを迎え、健康な人の風邪なら7~10日間程度で自然に消滅する。

「ウイルスは細菌と違って単独で増殖できませんし、新たな感染先を見つけるには、ある程度宿主が元気で自由に歩き回ってもらわなければなりません。だからこそ『無能なウイルスは宿主を殺すが、賢いウイルスは宿主と共存する』といわれるのです」

■「毒性」が弱い理由

 そもそもヒトは大半が無害である微生物が何兆個も集まってひとつの生態系をつくっている。

 ヒトはウイルスを寄生させ居心地の良い場所を提供する代わりに、食べ物の消化を助けて免疫機能の調整などのために働いてもらっている。

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