人生100年時代を支える注目医療

心蘇生後の脳機能障害が軽くなる「水素ガス吸入療法」

佐野元昭准教授(C)日刊ゲンダイ

 従来、蘇生後の脳へのダメージを減らすために、体温を強制的に低下させる「体温管理療法」が行われている。

 しかし、体温を早く冷やすために高度で大がかりな装置が必要になるので、高度救命救急のような施設でないと実施が難しい。

 それが水素ガスの吸入が有効となれば、大きな病院でなくても簡便に実施できる画期的な治療法となる。

 そこで佐野准教授らのグループは、心停止をさせたラットであらためて実験。水素ガス吸入療法に体温管理療法と同程度の脳機能の改善効果があることを実証。この基礎研究から同大では、人に対しても救急医療の現場で5人の心肺停止患者に水素ガス吸入療法を行い、退院4人、死亡1人の研究結果を得ている。

 現在進められている大規模臨床研究では、体温管理療法を併用して全国18施設以上で、3年間をメドに水素ガスと偽ガスを吸わせた360例の比較試験が行われている。

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