がんと向き合い生きていく

「2週間の命」と告げることで安らかな死を迎えられるのか

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 Aさん(68歳・男性)は膵臓がんで抗がん剤治療が効かなくなり、B病院からCホスピスに転院。その3日後、ホスピスの主治医である若い女医さんが、奥さまにこんな話をしたそうです。

「Aさんはまだまだ生きられるつもりのようですが、命はあと2週間と予想されます。ご家族の了解が得られれば、そのことをAさんに告げたいと思いますが、いかがでしょうか? 多くの方は、最初は大変混乱されますが、だんだんそれを受け入れて次第に穏やかになり、最期は安らかになられます。ご家族もこの状態を受け入れていかなければなりません」

 その時、奥さまは「本人には、そのことだけはどうしても言ってほしくない」と主治医に頼みました。しかし、その夜から奥さまは悩んだといいます。

 ホスピスの主治医は「最期は安らかになる」と言っている。もし、自分が反対したために夫の最期が安らかになれなかったらどうしよう……。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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