患者に聞け

脊柱菅狭窄症<2>手術が終わればマチュピチュだって大丈夫

国保小見川総合病院
国保小見川総合病院(提供写真)

 脊柱管狭窄症はどんな病気なのか。千葉県香取市の国保小見川総合病院のホームページにこう書かれてある。
<腰椎の老化による変形のため足へいく神経の通る管が狭くなって起こります。(中略)通常は薬やブロック注射などにより治療を行いますが、それでも治らない方は椎間板ヘルニアと同様に鏡視下手術を行います。(中略)現在ではほとんどPELD(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)で試行しており、1泊2日の入院で可能となりました。脊柱管狭窄症のPELDは世界で当院でしか行われていません>

 横浜の自宅から2時間56分かけてやって来た。駅前からタクシーに乗り込み「いててて、小見川総合病院まで、いててて」。運転手さんが、「おっ、清水先生のところですね」と親しげに聞いてくる。

「この前も大阪から来た人を乗せたんですよ」。凄い、凄すぎる。

「いてて↓小見川総合病院」と来れば「清水先生」と条件反射的に言ってしまうのだろうか。この後も小見川駅からタクシーに乗るたびに繰り返されるやりとりだった。小見川総合病院が、脊柱管狭窄症患者にとって迷える信徒の“聖地”のように思えてきた。

■「翌日には退院できます」

 病院には「脊椎脊髄センター」が設けられていて、次々と呼ばれる患者に看護師さんが3人いる先生を順次当てていく。「どの先生も立派ですから」と。誰もが“ゴッド・フィンガー”の清水純人先生に当たるわけではない。私はラッキーにも清水先生が担当医になった。診察室に入ると先生は、レントゲン写真を見ながら「第4腰椎と第5腰椎の間の椎間板にヘルニアが起きていて、下肢に行く太い神経を圧迫しているんですよ。そこで患部に8ミリの穴を開けて、そこから7ミリの内視鏡を使ってヘルニアを切除して、本来のように神経に触れないようにします」と流れるように説明する。さらに「普通の人だと手術1時間弱で、傷口が小さいのでばんそうこう一枚で手術後は自由に動けますし、翌日退院もできます。もちろん傷口から出血が止まるまでは、ばんそうこうというわけにはいきませんがね。それに100%治るとは限りませんから」。カッカッカッと笑いながら念を押す。

 定年記念にペルーのインカ帝国の遺跡マチュピチュに行く予定だったが断念したと話すと、「ああ手術が終われば、大丈夫ですよ」と希望を持たせてくれる。朗らかな先生で、馬が合いそうだ。

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