管理栄養士が推奨 「午後4時に間食」の肥満予防効果とは

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 間食は肥満のもと、と思っている人はかなりいるだろう。しかし近年、間食を勧める食の専門家は多い。そのひとりの管理栄養士で一般社団法人臨床栄養実践協会理事長の足立香代子氏に聞いた。

「現代社会では、間食は肥満予防のために積極的に取り入れるべきです」

 その理由として挙げるのが、間食と血糖値との関係だ。

 1日3食取っている人でも、会社勤めをしていれば、朝、昼、夜と均等に時間を置いて食事をするのは困難だ。朝食抜きとなると、前日の夕食から昼食までかなり空く。

「何も食べない時間が長く続くと、低血糖状態になり、糖質を欲しやすくなる。そこでドカンと“ラーメンとチャーハン”や“ご飯大盛り”などを食べれば、血糖値は急激に上昇します」

 糖質はタンパク質や脂質より短時間で体に吸収されるからだ。では、糖質を食べたいのを我慢してタンパク質や脂質を取ればいいかというと、「1年以上の長期では継続が難しいために、リバウンドが生じる」という問題点がある。

「血糖値が急上昇すると、それを下げるために膵臓からインスリンが大量に分泌され、血糖値が急激に下がる。血糖値の急上昇・急降下を『血糖スパイク』といい、さまざまな弊害を招きます」

 まず、インスリンは使いきれなかった糖を脂肪に変えて蓄えるため、太りやすくなる。

 次に、食後の高血糖は、心臓血管系の病気のリスクを高める動脈硬化を進行させる。複数の研究結果があり、例えば、糖尿病予備群を2群に分け、一方に食後高血糖改善薬、もう一方にプラセボ(偽薬)を処方した研究では、高血糖改善薬群はプラセボ群に対し、心臓血管系の病気の発症が約半分になった。

 空腹時血糖、食後血糖の死亡率を調べた研究では、空腹時血糖が高くなっても死亡率は変化しないが、食後血糖が高くなると、空腹時・食後血糖が正常な人に対して死亡率が2倍に高くなることも分かっている。

 さらに日常的には、疲労感、集中力の低下、眠気などを引き起こす。

「血糖スパイクの問題とは別に、1日3食または2食の生活は栄養不足の問題もあります。バランスの取れた食事を毎回していればいいですが、外食中心であれば、タンパク質、ビタミン、ミネラルが圧倒的に不足。高齢者では、低栄養によるサルコペニア、フレイルにもつながります」

 サルコペニア、フレイルは健康寿命を縮めることにつながる。

■果物がおすすめ

 足立氏が勧めるのは、昼食から4時間前後経った頃に、200キロカロリーほどの間食を取ることだ。スナック菓子やケーキ類、清涼飲料水など「糖質の塊」は血糖値を上げやすいためNG。足立氏自身が日常的に取っているのは、キウイやリンゴなどの果物、ヨーグルト、チーズなど。

「果物はいずれも血糖値を上げやすいと考えている人がいますが、最新の研究で否定されています。キウイやリンゴは糖質の中でも果糖が多く含まれており、血糖値を上げにくい。かつ、食物繊維が豊富なので血糖値の上昇を抑えます。さらに、ヨーグルトやチーズもタンパク質が中心で、血糖値の上昇を抑制します」

 果物は現代人に不足しがちなビタミン、ミネラルが豊富なのも好都合。ショ糖(果糖と同じく糖質の一種)が多い果物は血糖値を上昇させるが、ヨーグルトなどのタンパク質と組み合わせればそれを避けられるという。

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