愉快な“病人”たち

一色伸幸さん うつ病は「心のかぜ」ではなく「心のがん」

一色伸幸さん(C)日刊ゲンダイ

 映画やドラマがヒットしても、大きな賞を受賞しても手放しでは喜べず「もっとできたはずだ」と自分を追い込んでいました。眠れなくなり、睡眠導入剤を常用するようになりました。ボクはお酒を飲まないのですが、サラリーマンが仕事帰りに一杯やるくらいの気持ち良さがその薬にはあったのです。気づけば1日何十錠も飲んでいました。

 そのうちに何も書けなくなり、階段から転げ落ちたり、家のコンセントカバーを全部外したり、家の廊下で見えない人に道を譲ったり、意味不明なことをするようになっていたようです。

 見かねた妻に引っ張られて精神科医の元へ行ったのは34歳のときです。母親の同級生のご主人で、子供の頃からよく遊びに行っていた病院でした。幼い頃のボクを知る顔見知りの先生だったことが治療にもいい影響を与えたと思います。

 じっくりとしたカウンセリングで「うつ病」と診断された後は、4~5種類の薬を使い、組み合わせや割合を変えて2~3週間ずつ試していきました。自分に合う組み合わせになったのは半年後ぐらい。昼間の眠気が減り、夜眠れるようになったんです。

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