愉快な“病人”たち

一色伸幸さん うつ病は「心のかぜ」ではなく「心のがん」

一色伸幸さん(C)日刊ゲンダイ

■生きていることが退屈な映画そのもの

 一番うつがひどいときは、布団から出られませんでした。なんのやる気も起きません。幼いわが子が話しかけてくれても何も感じないんです。

 うつは、脳と心をつなぐ糸が切れてしまった状態だと思います。たとえばジョークが笑えるのは、「こんな発想で、こんなゴロ合わせで今この人は笑いをつくった」と脳が理解して、それが心につながって、「面白い!」と感じるからです。でも、糸が切れていると脳で理解したものが心まで届かない。食事をしても、出汁の風味や鮮度の良さは十分わかるのに、それが「おいしい!」につながらない。とてもキレイな女性が耳元で色っぽい言葉をささやいても、ウキウキもムラムラも起きないのです。

 うつの最中は、うれしいとか楽しいとか、悲しいとか憎たらしいとか、そういった“心の揺らぎ”がひとつも起こりません。

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