意外に知らない…前歯治療は保険が利かないといわれる理由

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ただし、前歯なしは見た目が悪いため、できるだけ短期間ですべてを終えなければならない。そのため歯科医師は、ある程度の腕が必要となるという。

「どんな歯も、再治療となれば削らなければなりません。しかし、他の歯に比べて小さい前歯は何度もやり直しはできません。どの歯もできるだけ短期間で根管治療、修復治療、かぶせ物、ブリッジ治療を終えることが基本です。しかし、審美的に前歯はそれがより強く求められるのです。歯科医師は短期間の治療を可能にするさまざまな知識と経験と、技術、治療・検査の装置など総合力が必要とされます」

■費用の違いは何の差なのか?

 むろん、歯科医師の多くはこうした腕は持っているだろうが、問題はそれを丁寧に行うのに必要な時間をかけられるか、だ。

「私は自由診療で歯科診療をしています。そのため、ひとりの患者さんの診療に半日から1日かけることも珍しいことではありません。しかし、『この治療は保険点数〇点◯◯円』と国によって金額が決められている保険診療ではそうはいきません。限られた時間と予算の中でできる範囲でしか治療を行えないのです。その結果、とにかく患者さんの数をこなすという場合もあり、満足のいく治療ができないケースも出てくるでしょう」

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