Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

ノーベル賞で注目オプジーボ “ターゲット”は進行肺がんか

本庶佑・京大特別教授(C)共同通信社

 特に認知機能がキープできたら、治療と生活を両立する上でも、生活の質を高める上でも重要でしょう。

 非小細胞肺がんの場合、オプジーボで腫瘍が半分に縮小する確率は5人に1人ほどですが、従来の抗がん剤より効き目が長く、全身の転移がんが消えて3年以上元気に暮らしているケースも報告されています。「転移↓余命告知」は、過去のものになる可能性を秘めているのです。

 免疫チェックポイント阻害剤の開発はどんどん進んでいます。今後の課題は、効き目がある人の掘り起こしと国民皆保険制度に直結する超高額な医療費の問題でしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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