その上、さらに転院した病院の建物の古さ、暗さ、設備など、大病院とのギャップを目の当たりにしたことで、人生の最後になって「大病院から追い出された」「捨てられた」といった思いを抱く患者がいるのです。
もちろん、建物は古くて小さくとも、スタッフが親切で、患者の心に添ってくれて、患者から「ここに移って良かった」と感謝される病院もあります。
病院機能の分化が進み、大病院、中小病院、それぞれの事情があるのも事実です。病院の相談支援センターなどで相談し、患者自身が納得して転院を決めたはずでもあります。それでも、間もなくこの世を去らねばならない患者が、大病院から「捨てられた」と感じてしまうとすれば、医療者はその無念さ、その心を思いやってほしいのです。
■本コラム書籍「がんと向き合い生きていく」(セブン&アイ出版)好評発売中
がんと向き合い生きていく