人は遺伝子の奴隷なのか

特別な才能?世界が注目したアフリカの「金メダル遺伝子」

ウサイン・ボルト(C)日刊ゲンダイ

 オリンピックの陸上競技のメダリストというとアフリカ系選手をイメージする人は多い。

 男子マラソンではアベベ、ウォルデなどのエチオピア勢、ワンジル、ワイナイナやキプチョゲといったケニア勢もいて、女子マラソンではエチオピアのロバやゲラナ、ケニアのスムゴングが有名だ。短距離は北京・ロンドン・リオの男子100メートル金メダルのウサイン・ボルト(写真㊧)を含め、男女ともジャマイカ選手が活躍しているが、多くは西アフリカの血を引いている。そのためアフリカ系の陸上選手には特別な陸上競技の能力が受け継がれると考える人は少なくない。本当にメダリストには特別な才能=遺伝子があるのだろうか? 「日本人の遺伝子」(KADOKAWA)の著者で、国際医療福祉大学病院内科学の一石英一郎教授が言う。

「1998年、世界的な科学雑誌『ネイチャー』の論文を紹介したメディアが『スポーツ持久力遺伝子発見』と報じたのをキッカケに『金メダル遺伝子』が話題になったことがあります。論文は血管拡張作用と血圧に影響するACE遺伝子が、持久力に影響することを示唆したものでした」

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