人は遺伝子の奴隷なのか

特別な才能?世界が注目したアフリカの「金メダル遺伝子」

ウサイン・ボルト(C)日刊ゲンダイ

 では、逆にこれらの遺伝子を持つ人は、陸上選手として成功が約束されるのだろうか? 残念ながらそうではない。多くの研究が行われたが、遺伝子と成功との間に強い関連性は見られなかったという。つまり、これらの遺伝子は運動能力に多少の影響を与えることはあっても、その有無だけで将来を予想するのは不可能だということだ。

「優秀なアフリカの陸上選手の多くはごく狭いエリア出身であるため、遺伝子との強い関連がささやかれてきましたが、いまでは彼らが優秀な陸上選手になれたのは酸素の薄い高地で育ち、通学のため毎日13~16キロ走っていたからではないか、と考えられています。どんな分野でも1万時間練習すればその分野で一流になれると言います。期せずしてケニアの陸上選手は日々の生活でそれを実践していたのかもしれません」

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