肺がん根治目指す 初の免疫チェックポイント阻害剤が登場

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「イミフィンジの最大の特徴は、抗がん剤や放射線治療を終えたⅢ期の非小細胞肺がんを対象にしている点です。Ⅲ期の非小細胞肺がんは、放射線療法と抗がん剤を使った化学療法が標準治療ですが、ここ20~30年はほとんど治療法に進歩はありませんでした。その意味でこの承認は画期的なことであり、早いステージで幅広い適応がなされることにより、今後のがん治療においてより多くの方に効果が期待できるようになってくる可能性があるのです」

 一般に後で発売される薬は最初に認可された薬より厳しい審査基準や臨床試験を経て承認されることが多い。それらをクリアしたイミフィンジは、従来の免疫チェックポイント阻害剤と同等以上の期待がかかるのは当然だ。新薬はどのようにしてがんを抑えるのか?

「T細胞は、がん細胞への攻撃を始めてしばらくすると、攻撃が暴走しないように細胞の表面にブレーキ役のPD―1受容体を発現させます。その時、がんやその周辺の微小環境の細胞は、T細胞からの攻撃から逃れるために細胞表面に多数のPD―L1を発現させるのです。両者は鍵穴と鍵の関係にあり、結合するとT細胞によるがん細胞への攻撃にブレーキがかかります。免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞がこの仕組みを利用して免疫から逃れるのを防ぐ薬です」(一石教授)

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