ノーべル賞 受賞者と研究のその後

次の医学賞候補が開発 15人中7人のがんが消えた光免疫療法

がん治療で世界へ(C)日刊ゲンダイ

 まさに“夢の治療法”を米国が見放すことはなく、治療の実用化は米ベンチャーのアスピリアン・セラピューティクス社が担当する。そこに億単位の支援を行っているのが、楽天の三木谷浩史会長だ。企業にとっては“ドル箱”で、小林医師の計画通りなら、資金回収は秒読みか。

 関西の名門・灘高から京大医学部に進学。1987年に卒業すると、放射線科医としてがん患者を診察するようになった。手術は肉体的な負担が重く、放射線や抗がん剤は少なからず副作用がある。そんなことから、「がん細胞だけを攻撃する治療法」を考えたという。

 難しい仕組みを簡単に説明するとこうだ。抗体の中には、がん細胞にだけ結合するものがあり、そんな抗体に近赤外光線の光で化学反応を起こす物質をつけ、注射で体内に注入。抗体ががん細胞に結合したタイミングを見計らって光を当てると、化学反応による熱でがんの細胞膜が破壊され、がん細胞だけを選択的に死滅させる可能性が高いという。

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