気鋭の医師 注目の医療

主治医の説明が理解しづらいなら“病理外来”という選択肢も

坂谷貴司教授(C)日刊ゲンダイ

 臨床医も多忙で、かならずしも病理診断学に詳しいわけではない。患者に分かりやすく伝えるのが難しい場合もある。そのようなことが患者の医療不信につながる要因にもなる。病理診断についての主治医の説明が理解しづらいようなら、病理外来という選択肢があることを知っておくといい。

■病気の詳細を知ることができる

 ただし、病理外来を設ける医療機関は、全国でも大学病院を中心に限られる。というのも、国内の医師約32万人のうち、病理専門医は約2400人と圧倒的に少ないからだ。人口に対する割合では米国の3分の1。がん診療連携拠点病院でも常勤の病理専門医がいない施設も少なくない。

「高齢化に伴って、がん患者さんが増える一方で病理専門医の人手は足りていません。病理診断科が標榜科として認められたのが10年前なので、病理専門医の存在を知らない患者さんもいます。当院は良質で高度先進医療を提供する大学病院であり、常勤の病理専門医は9人と多い方で、年間1万5000件ほどの病理診断を行っています。それでも病理外来の依頼は年間数件ほど。もっと病理の仕事やご自身の病気について知ってもらいたいと思っています」

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