医者も知らない医学の新常識

青魚の脂は脳にも影響 サンマを食べると不安が消える?

サンマにはオメガ3脂肪酸が多く含まれる
サンマにはオメガ3脂肪酸が多く含まれる(C)日刊ゲンダイ

 サンマやイワシなどの背が青い魚の脂には、EPAやDHAという成分が含まれています。これらはオメガ3脂肪酸と呼ばれる種類の脂肪で、動脈硬化の進行を抑え、脳卒中や心筋梗塞を予防するような効果があると報告されています。人間の体の中では、細胞の膜に多く含まれている成分です。

 細胞の膜に含まれている脂肪にはもうひとつ、オメガ6脂肪酸があります。アラキドン酸がその代表です。

 こちらは卵黄やウニ、レバーなどに多く含まれています。このオメガ6脂肪酸は、取り過ぎるとむしろ動脈硬化を進行させるのです。

 実は脳においても、このオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率が重要であることが、最近明らかになっています。

 今年の米国医師会雑誌の姉妹誌に載った論文によると、これまでの研究データをまとめて解析した結果として、EPAやDHAのサプリメントを多く取ることにより、ストレスによる不安などの症状が改善することが確認されました。

 それではなぜ、青い魚の脂で不安が軽減するのでしょうか?

 2014年に日本の研究者が、ネズミの実験でそれについての知見を報告しています。オメガ3脂肪酸の脳での比率が増えると、脳内で不安を和らげる脳内麻薬が分泌され、それが不安を抑制していることが確認されたのです。サンマをたくさん食べると、気分を安定させるのにも効果がありそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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