Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

4年連続患者数1位の大腸がんはアスピリンで予防できる

毎年の検便と5年に1回の内視鏡(C)日刊ゲンダイ

 そこで、予防のカギを紹介します。それが、鎮痛薬バファリンの成分としておなじみのアスピリンです。

 13万人を超える米国人を32年にわたって追跡する研究では、アスピリンを定期的に服用している人は、消化管のがんの罹患リスクが15%低下するばかりか、大腸がんに限ると19%も減少することが分かったのです。日本の研究でも、アスピリンの服用で、大腸がんの前駆病変である腺腫の再発リスクが40%減少すると報告されています。

■毎年の検便と5年に1回の内視鏡を

 こうした研究結果が相次いだことから、米予防医療サービス対策委員会は、大腸がんの予防目的で低用量アスピリンを服用することを推奨しているのです。安価で安全性も高いアスピリンで、がんを「化学予防」できれば、医療費の抑制にもつながります。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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