Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

4年連続患者数1位の大腸がんはアスピリンで予防できる

毎年の検便と5年に1回の内視鏡(C)日刊ゲンダイ

 米国の大腸がんが減った背景には、大腸内視鏡検査の普及も大きいでしょう。米国では、5年に1回くらいの頻度で大腸カメラを受けていて、早期発見・早期治療が進んでいます。大腸がんは、胃がんと同じく早期に治療できれば、ほとんど治りますから、この意識の違いは大きい。

 ただし、大腸がんを見つける検査の基本のキは便潜血検査です。古くからある検査で、採便1回あたりの大腸がん発見率は45%程度とそれほど高くありませんが、2回分でチェックするため、それだと70%に上昇。2年目(のべ4回)も受けると91%に。3年目(のべ6回)もきちんと受けると、97%までアップします。

 実は、私の近親者は48歳の若さで大腸がんで亡くなりましたが、便潜血検査を受けていませんでした。痔があり、大腸がんによる出血を痔の出血と決めつけていたのです。皆さん、便潜血検査をおろそかにしてはいけません。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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