ステージⅣがん治療を断るとどうなる

がん患者はがんではなく、がん治療の副作用と闘っている

 病を治すということは、健康な体を取り戻すということにほかならない。アナウンサーの故・逸見政孝さんの例を引き合いに出すまでもなく、がんは“寛解”したが当の本人は亡くなった――という事例は枚挙にいとまがない。私は取材で、同じような例をいくつも耳にした。医師はこう言う。

「手術はうまくいった」

「治療は順調にいっている」

「あとは体力との勝負だ。気を強くして頑張ってください」

 これは、治療後の健康は患者の自己責任だと言っているようなものだ。このように、がん患者の多くはがんと闘っているのではない。過酷ながん治療に耐え、治療の副作用、そしてその治療によって起こる筋力、免疫力、代謝力の低下によって引き起こされるさまざまな合併症と闘い、そして力尽きていくのだ。

 私はがんを宣告されて、即座に医師の治療を断った。そこにはなんの迷いも不安もなかった。

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笹川伸雄

笹川伸雄

ジャーナリスト。1946年、宮城県生まれ。医、食、健康のジャンルを得意とし、著書に「妙薬探訪」(徳間文庫)など

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