中高年の意外な死因

年間8万人亡くなる中高年の3割は残念な最期を迎えている

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「中高年男性」という言葉はいろいろな場面で使われますが、その定義はさまざまです。ここでは40歳から64歳としましょう。その多くがサラリーマンや公務員です。

 40代は、ここで踏ん張れば、部長の道が開けるかもしれません。50代、60代は、サラリーマン人生のゴールが見えてきました。完走までもう一息。しかし、気を抜いてはいけません。中高年男性には、思わぬ健康の落とし穴が、随所に隠されているからです。

 政府の統計によれば、2016年の1年間に、7万9781人の中高年男性が亡くなりました。おおよそ8万人と覚えておくといいでしょう。ちなみに同世代の女性の死亡数は、男性の半分(3万9439人)でした。

 中高年男性の死因1位は、言うまでもなく「がん」です。2万9000人が亡くなっています。

 次いで多いのが心疾患。急性心筋梗塞など「虚血性心疾患」が約7000人。不整脈などによる「突然死」や「うっ血性心不全」が約5000人。その他の心臓病も含めると、約1万4000人が命を落としました。

 3番手は自殺です。なんと6400人が、自ら命を絶ちました。

 そして4番手が、僅差で脳卒中(約6300人)。血管が詰まる脳梗塞、血管が切れる(破れる)脳内出血、脳動脈瘤が破裂するくも膜下出血の総称です。全年齢では脳梗塞が圧倒的に多いのですが、中高年男性に限れば、まだ若いので脳梗塞は少なく、逆に脳内出血(約3100人)とくも膜下出血(約1700人)の比率が高くなっています。

 これら上位4つを合計すると、約5万6000人。全死亡の実に7割を占めています。

 ただ4大死因が多いことぐらいは、すでに多くの方がご存じのはず。さまざまな対策も講じられています。早期発見だけでも、職場健診、人間ドック、がん検診、ストレスチェックなどなど。治療法も日進月歩です。一般の関心が高いため、テレビも新聞・雑誌も、インターネットも、これらの病気の話題であふれかえっています。

 逆に、残り3割の死因は、ほとんど相手にされません。しかし、その中には、心がけ次第で十分に予防できそうな、ちょっと残念なものが数多く含まれています。今回は、そんな気になる死因を、いくつかピックアップしていきましょう。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

関連記事