がんと向き合い生きていく

原因不明だった白血病 治療法が進歩して治癒も期待できる

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 かなり前のことになりますが、白血病と肺炎と診断された九州出身の40代の男性患者が、酸素吸入を受けながら私が勤める病院に救急車で運ばれてきました。末梢血液の標本を見ると、以前に国立がんセンターで見たものとそっくりの異常細胞があり、HTLV―1抗体は陽性でATLの診断がつきました。両側の肺X線写真は真っ白で、真菌の一種の感染によるカリニ肺炎といわれるものでした。結局、治療の甲斐もなく呼吸困難が増強して、残念ながら5日後に亡くなられました。

 患者の姉であるCさんにその病気を説明したところ、「私も検査して欲しい」と希望され、すぐに採血をしました。その結果、HTLV―1抗体は陽性でしたが、ATLは発病していませんでした。

 それから数年後、驚いたことにCさんは頚部のリンパ節が腫れ、ある病院で「悪性リンパ腫」との診断を受け、私のところに紹介されてきました。ATLがリンパ腫のタイプで発病したのです。Cさんは頑張って闘病されましたが、治療の効果はなかなか得られず残念な結果となりました。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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