医者も知らない医学の新常識

米国で研究報告 水をたくさん飲めば膀胱炎は予防できるのか

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 尿の回数が多くなり、排尿時の痛みや残尿感を伴う膀胱炎。女性に目立つ感染症です。原因の多くは大腸菌による細菌感染で、治療には抗菌剤が処方されます。ただ、一度治ってもまた繰り返すのがこの病気の特徴です。抗菌剤は病気を治すには有効でも、再発の予防にはなりません。

 それでは、膀胱炎を予防する方法はないのでしょうか? お医者さんに行くと、「水をたくさん飲みなさい」と言われることがよくあります。

 しかし、実はその根拠は、それほど確かなものではありませんでした。確認するような研究が、これまであまりなかったのです。

 今年の米国医師会の内科雑誌に、この問題についての臨床試験の結果が発表されています。年3回以上膀胱炎を繰り返している女性に、1日1.5リットル以上水分を取るように指導したところ、1年間における膀胱炎の回数はほぼ半減しました。水はもちろん飲み過ぎれば害もあります。

 ただ、膀胱炎を起こしやすい人で調べると、1日の水分量は1リットルありませんでした。つまり、意外に水分を取っていないのです。

 膀胱炎を繰り返しているような人では、1日に食事以外に1.5リットルの水分を取ることが、再発の予防には効果的であるようです。もちろん、内臓の病気で水分の制限をお医者さんから指示されている人は、必ず主治医の先生にご相談の上、実行して下さい。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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