■マンモグラフィーと超音波検査を毎年受けることが大前提
土井医師の調査で明らかになった結果は、次の3つだ。
①HRTが長期に及ぶと「高濃度乳腺」の比率が高くなる。高濃度乳腺とは、マンモで発見しづらいタイプの乳腺組織で、乳がんの発症リスクをやや上げる。
②HRT歴群の73%は継続5年以上であり、“長期”とは5年以上。
③乳がんの発症リスクをやや上げるものの、HRTをきっかけにマンモと超音波を毎年受ければ、乳がんの発見のチャンスが増え、乳がんの早期発見につながる。
HRT群の乳がん発見率は、非HRT群の2倍だったが、これは①と③の両方が関係していると考えられる。
土井医師は「発症リスクと死亡リスクは違う」と強調する。
「重要なのは、早期発見です。乳がんは早期発見すれば命を落とす危険は極めて低くなる。HRTでやや発症リスクが上がっても、HRTで乳がん検診を確実に受けるようになれば、早期発見のメリットを得られる。更年期障害のつらさを抱えているなら、マンモと超音波を毎年受けることを大前提に、HRTを検討すべきでしょう」