ポリオに似た原因不明の病気がアメリカで次々に報告され、親や医療関係者の間に不安が広がっています。
「A・F・M」(Acute flaccid myelitis/急性弛緩性脊髄炎)は神経系に影響してポリオのような麻痺をもたらす病気で、ほとんどが子供に発症。「手足に力が入らなくなる」「顔や目尻が垂れ下がる」「食べ物がのみ込めなくなったり、口が回らなくなる」「場合によっては呼吸が弱くなる」などの症状が出ます。
これまでアメリカでは1万人に1人がかかるまれな病気でしたが、9月中旬から患者が増え始め、10月初旬には全米5州で報告。中旬には22州で罹患が確認された62件と、さらに罹患した疑いがあるケースを含め合計127件が報告され、昨年を大幅に上回っています。
その9割が18歳以下の子供たちで、平均年齢は4歳(10月16日現在)。風邪のような症状から始まり、気づいた時にはかなり症状が進んでいるケースが多いそうです。
A・F・Mと診断された子供の数は過去4年間で急増し、少なくとも全米で合計386人に達しています。原因不明で、CDC米国疾病対策センターによれば、ポリオウイルス、エンテロウイルス、ウェストナイルウイルス、アデノウイルスなどのほか、環境有害物質、遺伝性疾患の可能性があるとしています。
治療法は確立しておらず、理学療法、作業療法などに頼っているのが現状です。ステロイドによる治療が実施された例も伝えられていますが、完全な回復には至っていないとしています。
効果的な予防法もなく、少なくともポリオの予防接種を受ける、ウェストナイルウイルスを媒介する蚊に刺されないように気をつける、通常の感染症予防同様にまめに手を洗うことなどが呼びかけられています。
日本では、2014年に北米でA・F・Mが流行したのに続いて、翌15年秋に急性弛緩性麻痺(A・F・P)の症例が多発。A・F・Pの次の流行に備え、5月から全数届出疾患になったと、日本小児科学会が周知しています。
ニューヨークからお届けします。