「予防」といっても、何も病気がない状態で手術をするわけではありません。あくまでも何らかの病気を抱えていて、それが進行しているケースが対象です。そして、抱えている病気自体は単独で治療する段階まで進んではいないけれども、このまま行けば別の深刻な病気を発症する可能性が高い。それならば、いまの進行中の段階で、何らかの手術を行ったほうが患者さんにとってプラスになるだろう。そんな考え方で実施されるのが予防的手術になります。
■左心耳切除術は術後の脳梗塞を防ぐ
心臓手術を受けた後に発症しやすくなる脳梗塞を予防するために行っている「左心耳切除術」もそのひとつと言っていいでしょう。心臓手術に付随して行う処置で、血栓の多くが形成される心臓の左心耳という袋状の部分を取り除き、再び縫合して血液の行き来を遮断する方法です。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」