実際、2016年の統計によれば、40~64歳の中高年男性13人が、鼠径ヘルニアで死にました。加えて、腸がヘソの部分に飛び出してくる“臍ヘルニア”で2人、腹壁の隙間から飛び出してくる“腹壁ヘルニア”で2人死んでいます。
別の友人は一昨年、虫垂炎の手術を受けています。いわゆる“盲腸”です。こちらも子供の病気と思われがちですが、鼠径ヘルニアなどと同様、大人でもかかります。この友人は、お腹の尋常ではない痛みに襲われて、病院に駆け込んだのでした。すでに虫垂が大きく腫れていて、破裂する一歩手前だったそうです。そのまま即入院、即手術となって、事なきを得たのでよかったのですが、もう少し遅れていれば、虫垂にたまった膿が、お腹のなかにまき散らされて、かなり大ごとになっていたはずです。
この年、虫垂炎で亡くなった中高年男性は8人でした。
死因に良いも悪いもありませんが、とはいえ鼠径ヘルニアや虫垂炎で亡くなってしまったのでは、本人も家族も悔やんでも悔やみきれないに違いありません。「ひょっとしたら!?」と思ったら、恥ずかしがらずに外科を受診したほうがいいですよ。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。