ステージⅣがん治療を断るとどうなる

筋トレで免疫力と代謝アップ 腫瘍マーカーなどが正常値に

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 退院後は自力で免疫力と代謝を高め、がんを克服しようと決意した私だが、新たに始めたことは何もない。しかし現在、腫瘍マーカーをはじめ、白血球数、血糖、肝機能の数値など、どれをとっても正常値なのだ。

 医師は「ステージⅣの進行性のがんでこの(良い)数値は珍しい」と言いつつ不審げに「本当に何もやってないのですか?」と聞く。そしてこう畳みかけてくるのだ。

「延命治療はどうしますか」

 医師にとっては、私は“ステージⅣの重篤”ながん患者なのだ。医師の提案通り手術を受けていたら食道を取られ、声帯を取られ、声を失っていたのだ。入院中、手術を受けた多くの患者の姿を見てきた。この大病院で、どれだけ多くの人ががん治療で“健康”を損ねているのかと思った。

 私の免疫回復法のひとつは筋トレだ。落ちた筋力、体重の回復に退院翌日からジム通いを復活した。体力、特に筋力の衰えを実感した私は、5年前からスポーツジムに通い、筋トレを続けてきた。週に4、5日、1時間半ほどの筋トレで、入院で落ちた体重、基礎代謝量、筋力がようやく以前に近づいてきた。

「患者よ、がんと闘うな」などの著書で知られる近藤誠氏は、今年の3月、私ががんの宣告を受ける前に取材で会った時、こう言った。

「がんは老化現象。そもそも、がんは自分自身の一部だ。それを叩こうとしたら、体のほうが参ってしまうのは当然。負担の少ない治療法を選ぶ方が長生きできる」

 近藤氏は、今回の私の症状と対処についてこう語った。

「食道がんステージⅣでも、首のリンパが腫れただけで、肺や肝臓など重要臓器への転移がないなら、現時点では死に至る要素はない」

 私の場合、近藤氏の“放置療法”と似てはいるのだが、ジム通いと食事で自己の免疫力を高める自称“免疫療法”は行っている。

笹川伸雄

笹川伸雄

ジャーナリスト。1946年、宮城県生まれ。医、食、健康のジャンルを得意とし、著書に「妙薬探訪」(徳間文庫)など

関連記事