人は遺伝子の奴隷なのか

染色体がカギを握る なぜ血友病は男性のみに発症するのか

写真はイメージ(C)PIXTA

「人は誰でも突然変異により機能が変化したり、失ったりした遺伝子を複数もっています。ただし、異常な遺伝子があってもその形質があらわれない人を保因者と呼び、あらわれる人を発症者と呼びます。例えば、性染色体に変異型のX染色体(仮にXmとする)を持つ父親(XmY)と正常なX染色体(X)を2本持つ母親(XX)から娘が生まれたとしましょう。その娘は必ず変異遺伝子を持つ保因者となります。しかし、2本のX染色体のうち1本は正常ですから発症者にはなりません。生まれたのが息子だったとしても、息子は母親から正常なX染色体を受け継ぐため、XYとなり発症者にはなりません」

 しかし、母親が保因者だったら話は別。その息子はXmYとなり、必ず発症者となる。娘の場合は父親がXm染色体を持っていない限り、保因者にはなっても発症者にはならない。

 つまり、発症者の父と保因者の母の間の娘と息子はそれぞれ半分発症者になり、発症者の母と正常な父との間の息子は必ず発症者となる。

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