がんと向き合い生きていく

「安楽死」を希望する患者が診察して30分後には笑顔を…

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 さらに、詳しい経過もうかがいました。

 膵臓がんが見つかったMさんは、Y大学病院で放射線・抗がん剤治療、手術を受け、その後は抗がん剤内服治療(S―1)を行いました。それから2年が経過した今回、肝臓への転移が明らかになったといいます。そこで、外来で抗がん剤のゲムシタビンとアブラキサンの点滴治療が行われましたが、1回目の投与で手足のしびれと嘔気が表れたため、Mさんは治療を断ったのでした。

 このお話を受け、私はこんな提案をしてみました。

「治療経過から薬の整理をしてみましょう。S―1を内服していて肝臓に転移がきたのだから、S―1はもう効かないと思う。そして、今回はゲムシタビンとアブラキサンの併用で副作用が強かった。2年前に行われたゲムシタビン単独治療では効いている状態のまま手術になった。この時、副作用は出ていません。今回の肝臓への転移はゲムシタビンが効かなくなった結果ではなさそうだから、もしかしたらゲムシタビン単独でも効くかもしれませんよ。やってみますか? いかがですか?」

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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