さらに、詳しい経過もうかがいました。
膵臓がんが見つかったMさんは、Y大学病院で放射線・抗がん剤治療、手術を受け、その後は抗がん剤内服治療(S―1)を行いました。それから2年が経過した今回、肝臓への転移が明らかになったといいます。そこで、外来で抗がん剤のゲムシタビンとアブラキサンの点滴治療が行われましたが、1回目の投与で手足のしびれと嘔気が表れたため、Mさんは治療を断ったのでした。
このお話を受け、私はこんな提案をしてみました。
「治療経過から薬の整理をしてみましょう。S―1を内服していて肝臓に転移がきたのだから、S―1はもう効かないと思う。そして、今回はゲムシタビンとアブラキサンの併用で副作用が強かった。2年前に行われたゲムシタビン単独治療では効いている状態のまま手術になった。この時、副作用は出ていません。今回の肝臓への転移はゲムシタビンが効かなくなった結果ではなさそうだから、もしかしたらゲムシタビン単独でも効くかもしれませんよ。やってみますか? いかがですか?」
がんと向き合い生きていく