患者が語る 糖尿病と一生付き合う法

低血糖にゼリー飲料持ち歩き 食べやすくおいしく効果あり

持ち歩きはゼリー飲料がいい(写真はイメージ)
持ち歩きはゼリー飲料がいい(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 ガングリオン摘出手術で入院した際、無条件にカロリー制限食にされてしまった経緯を前回書いた。インスリンはいつも通りの量を打っていたので、バランスが悪かったのか、入院初日の晩にさっそく低血糖を起こしてしまった。

 一応、病院内だし、看護師の指示に従ったほうがいいのかなと思って報告すると、小さなコップに入った無色透明の液体を飲まされた。砂糖水のようなもの(たぶん、ブドウ糖を水で溶いたもの)だった。

 これがなんとも生ぬるくて飲みづらい代物だった。速やかに糖分を補給するという観点から見て、理屈としてはまちがっていないのだが、だいぶ戸惑わされた。普段、自分で補食する際には、違うものを口に入れているからだ。

 家にいるときは、ビスケットなどを何個かかじることが多い。ブドウ糖そのものよりは血液に吸収されるのが遅いが、原料の大半は穀物と砂糖なので、これでも十分に用が足りる。

 ただし外出時だと、状況からして、ビスケットなどは口に含みづらい場合がある。そんな時のためにかかりつけのクリニックから支給されているのは、ブドウ糖の錠剤である。「錠剤」というと堅苦しいが、実質的には固形のラムネに近く、菓子として食べても普通にうまい。

 もっともこれは、1粒ずつ噛まなければならないのがおっくうだし、低血糖の度合いによっては、かなりの数を食べないと追いつかないこともある。

 あれこれ試行錯誤した結果、外出時に僕が必ず携行するようになったのは、「inゼリー」をはじめとするゼリー飲料である。エネルギー系なら、1パックで200キロカロリーほどを摂取でき、たいていの事態にはこれで対応可能だ。

 どんな状況でも食べやすいし、それなりにおいしく作られているのがいい。命の危険があるときにおいしさなど二の次かもしれないが、口にするのがつらいほどまずいものでは、かえって寿命を縮める結果にもなりかねないではないか。

平山瑞穂

平山瑞穂

1968年、東京生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年「ラス・マンチャス通信」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。糖尿病体験に基づく小説では「シュガーな俺」(06年)がある。

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