牧田ドクター「最強の食事術」Q&A

古い油は要注意 冷めた揚げ物を食べるのは避けるのが賢明

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

【Q】衣がたっぷりついた揚げ物を食べると吐き気がしたり、下痢をしたりします。油に弱い体質なのでしょうか?

【A】人の体は37兆個の細胞でできています。その一つ一つを細胞膜が覆っています。原料は脂質です。

 脂質は水に溶けにくく、有機溶媒(水に溶けない物質を溶かす液体)によく溶ける有機化合物のこと。細胞膜以外にもさまざまな働きがあります。脂溶性ビタミンやステロイドホルモンの調整、エネルギーとして脂肪組織に蓄えるなど。

 つまり、細胞を良い状態にして体を健康に保つには、脂質の取り方が大切なのです。間違うと“毒”になりかねません。

 例えば古くなった油で揚げた天ぷら類は食べると胃がムカムカして嘔吐したり、下痢になったりします。経験のある人もいるでしょう。これは「油に弱い体質」だからではありません。古い油は酸化して毒性の強い物質になるからです。「過酸化脂質」には注意が必要です。発がん性物質と考えられており、動脈硬化の一因ともいわれています。私たちの体の中でもつくられますし、食品にも含まれています。とくに油で調理した食べ物には大量に含まれています。

 調理して長時間経っている揚げ物は避けるのが賢明でしょう。

 脂肪(脂質の一種)は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別できます。飽和脂肪酸は主に動物に由来しているものが多く、常温で個体になる性質があるため体内でも固まりやすいと考えられています。肉類を過剰摂取すれば血液がドロドロの状態になって心筋梗塞などになりやすいといわれるのはこのためです。ただし、固体であるため変質しにくいという利点もあります。

 一方、不飽和脂肪酸はオリーブのような一価不飽和脂肪酸と植物油や魚油のような多価不飽和脂肪酸に分かれています。多価不飽和脂肪酸はさらにn―3系(EPAやDHA、α―リノレン酸など)とn―6系(リノール酸、アラキドン酸など)に分かれています。EPAやDHAは青魚に多く含まれ、動脈硬化を抑え、神経を健全に保つことが知られています。

牧田善二

牧田善二

AGE牧田クリニック院長、医学博士、糖尿病専門医。1979年、北海道大学医学部卒業。ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで糖尿病の合併症の原因とされるAGEを研究。96年から北海道大学医学部講師、2000年から久留米大学医学部教授。03年から糖尿病をはじめとした生活習慣病および肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開院、延べ20万人以上の患者を診ている。著書に「医者が教える食事術 最強の教科書」(ダイヤモンド社)ほか、多数。

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