腹痛や頭痛を訴えて学校や塾に行きたがらなくなったのは、小学校6年の夏休み明けだ。
両親は「受験から逃げている」と叱ったが、A君はその都度黙り込み、次第に部屋に閉じこもりがちになった。
貝谷理事長が言う。
「適応障害は引き金となったストレスがなくなれば、6カ月以内に回復します。しかしストレスがあるままでは、やがてうつ病や不安障害に移行する可能性があります」
子供の適応障害では、大きな役割を果たすのが親だ。
「怒ったり、子供がやりたくないことを強要させるのは逆効果。『なぜやりたくないのか』に耳を傾け、本人が抱えている問題を知る。『どうすればできるのか』『どこまでならできるのか』など、解決法をともに探っていく。子供の気持ちに共感し、理解することが大事です」(貝谷理事長)