1日25粒以上はNG…アーモンドを食べ過ぎてはいけない理由

1日25粒以上食べてはいけない
1日25粒以上食べてはいけない(C)日刊ゲンダイ

 健康と美容のため、小腹がすくたびにナッツ類を口にしている中高年も多いのではないか? 「糖質が少ない」「しっかり噛まないとのみ込めないため少量でも満腹中枢が刺激されて腹持ちする」「顎の筋肉が鍛えられるため顔つきもシャープになる」「唾液もたっぷり出るので虫歯にもなりにくい」「ミネラルや食物繊維が豊富なので体調にも便秘にも良い」――。アーモンドはさまざまな良い面が喧伝されているが、何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。食べ過ぎには注意が必要だ。女子栄養大学大学院前教授で、神奈川工科大学の上田成子客員教授に聞いた。

 ナッツの中で人気が高いのはアーモンドだろう。最近はナッツコーナーを設けているスーパーやコンビニもあり、手に入れやすい。糖質が低く、100グラム当たり9.3グラムほど。糖質ダイエットをしている人に人気があるのもうなずける。

「同じ100グラムのナッツでも糖質の量はカシューナッツは20グラム、ピスタチオは11.7グラムですからアーモンドはかなり少ない。しかも、糖質を代謝してくれるビタミンB2も多く含まれています。本来、糖質を取ると、それが脂肪になり人の体に蓄えられやすいのですが、ビタミンB2を摂取すると、脂肪に変換される前に糖質を代謝してくれるので、体に脂肪がつきにくくなるといわれています」

 実際、慶応大学医学部の井上浩義教授が男女8人に半年間行った検証実験では、食事を含め普段と変わらない生活を送りつつ1日25粒のアーモンドを食べ続けたところ半年で平均3.4キロ痩せたという。

「ビタミンEも100グラム当たり31.1ミリグラムと飛び抜けて多く、カボチャの5倍も含まれています。抗酸化作用があり、代謝により発生するフリーラジカルから細胞を守り、老化やがんからも身を守ってくれるとされています」

 アーモンドには現代人が不足しがちな、カルシウム、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルが豊富で体調を整えてくれる。鉄分はホウレンソウの約6倍、食物繊維はゴボウの約2倍もあり、便秘気味の人にも良い影響を与える。葉酸が多いので、妊婦にも良いという。

■吐き気や下痢、肝機能障害を招く可能性

 ただし、食べ過ぎれば問題が起きる。そもそもアーモンドはカロリーが高い。1粒でおよそ6~7キロカロリーもあり、100グラム食べると約598キロカロリーにもなる。これはご飯茶碗2杯分(1膳当たり150グラム=250キロカロリー)に相当する。

 その原因となるのが脂質だ。100グラム当たり53.4グラムの脂質が含まれている。カロリーとは水1グラム(ミリリットル)の温度を1度上げる熱量のこと。食品に含まれる栄養素の中でも、糖質、タンパク質、脂質の3大栄養素がカロリーを持ち、1グラム当たりのカロリーは、糖質とタンパク質が4キロカロリー、脂質が9キロカロリーだ。

「アーモンドは食べて消化・吸収するのに、顎や胃をしっかり動かし、胃液などの酵素を多く分泌しなければなりません。それだけ消費カロリーが必要となるのですが、食べ過ぎは禁物です。たとえアーモンドに含まれる脂肪酸の多くはオレイン酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸で、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪などを減らす働きがあるといっても、過剰に取ると太ります」

 いくら食物繊維が豊富で便秘に良いとはいえ、一度に過剰に取ればお腹を壊して下痢をしたり、体質によっては逆に便秘がひどくなったりすることがある。

 アーモンドにはアルギニンと呼ばれるアミノ酸が多く含まれている。過剰に取れば単純ヘルペスウイルスを活性化する可能性もある。繰り返して口唇ヘルペスを発症している人は気をつけた方がいい。

 また、ビタミンEは脂溶性なので水溶性ビタミンと違って尿により体外に排出されにくい。そのため、体内に過剰に蓄積された場合、吐き気や下痢、肝機能障害、筋力低下などの症状が起きる可能性はゼロではない。

「アーモンドに限らず、栄養的にすぐれたものであっても偏った摂取は健康に役立つどころか毒になりかねないことは覚えておいてください」

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