米で報告が 盲腸とパーキンソン病の切っても切れない関係

(C)sudok1/iStock

「効果的な薬剤がまだなかった時代、胃潰瘍の患者さんには『迷走神経離断術』という手術が行われていました。脳と腸をつなぐ神経を切断して胃酸を減らすことで、症状を改善させる治療です。この手術を受けた人の経過を追ったところ、パーキンソン病にかかる人が有意に少ないことがわかりました。そこから、腸の中で作られるα―シヌクレインという異常物質が迷走神経を通じて悩に到達し、パーキンソン病の発症に関わっているのではないかと考えられているのです。また、パーキンソン病の患者さんでは初期の段階で大腸にα―シヌクレインができ、そのために高率に便秘になります。便秘はパーキンソン病の引き金になる可能性があります」

 今回の研究では、盲腸にはパーキンソン病の発症に関わる上記の特殊なたんぱく質の材料がたまっていることから、切除が予防につながる可能性が指摘されている。

 しかし一方では、盲腸には免疫を高める効果や善玉腸内細菌の“隠れ家”になっていることが判明していて、切除した人は術後3~4年に大腸がんの発症リスクがアップするという報告もある。 盲腸を切ってパーキンソン病を予防――は、まだ時期尚早のようだ。

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