ゲームは悪くない?認知機能が上がりストレス耐性が養える

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 ビデオゲームに熱中する人たちを「注意散漫でキレやすい」とイメージするのは止めた方がいいかもしれない。近年、心理的メリットがわかってきているという。東京家政大学現代生活学部の加地雄一准教授が言う。

「かつてビデオゲーム中に前頭前野(知性や理性、創造性を担い、感情のコントロールも担当)の活動が低下するとの発表があり、ゲームに熱中する子供は日常的に前頭前野の活動が低下した『ゲーム脳』状態とする仮説が話題でした。その後、この仮説は批判され、認知能力を調べると前頭前野を使う課題はゲーマーの方がむしろ成績が良いなど多数のメリットが報告されているのです」

■悪いのは「課金」のギャンブル性のほう

 2003年には世界的科学雑誌「ネイチャー」に一人称視点のシューティングゲームをする人は視覚的注意という認知能力が高いことが報告されている。ゲームによっては、ある課題から別の課題にスムーズに切り替える認知的柔軟性、問題解決能力、空間能力、粘り強さなども鍛えられることが発表されている。

「ゲーム好きな人は社会性に欠けると言われますが、それもプレーするゲームの種類によるかもしれません。3カ国の異なる年齢層を対象にした実験がそれを証明しています。シューティングゲームをする群と、協力して行うビデオゲームをした群に分け、その後、切り分けられたピースを使って形を作り楽しむシルエットパズルをしてもらったところ、後者の方が協力してパズルを完成するためのやり取りが多かったのです」(加地氏)

 むろん、勉強や仕事の時間が削られるなど長時間ビデオゲームをする弊害はある。最新のDSM-5(精神疾患の診断統計マニュアル)にも、「ネットゲーム障害」が正式病名として記載されるといわれている。しかし、ゲームが持つ悪いイメージの大半は課金が必要なネットゲームのギャンブル性にあるのであって、ビデオゲームそのものにはメリットも多いのである。

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