遠藤ミチロウさんも膵臓がん ステージ4でも完治のポイント

2003年の取材時に撮影
2003年の取材時に撮影(C)日刊ゲンダイ

 パンクバンド「スターリン」ボーカルの遠藤ミチロウも膵臓がん…。ショックを受けた人が多いのではないか。68歳の誕生日である11月15日に公式サイトで発表したが、そこには「入院の検査の結果、膵臓癌であることがわかり、体調の回復を待って、10/22にようやく手術をしました。先日退院して今は自宅通院治療とリハビリに勤しんでいます」とつづられていた。

 がんのステージなどは書かれていないが、着目すべきは「手術」の文字。

「手術を受けられなければ、いずれ再発し、助からない。手術ができるということは、完治が見込めるということ」

 こう言うのは、自身も元がん患者で、がん難民コーディネーターの藤野邦夫氏。

 よく知られる通り、膵臓がんは早期発見が困難で予後が非常に悪いがんだ。自覚症状が出にくく、さまざまな臓器に囲まれているので検査が難しい。膵臓は幅が3~4センチ、厚さが2~3センチしかなく、直径2センチ以下の小さながんでも周囲に広がりやすく、転移しやすい。

「背中が痛い、お腹が痛いと言って病院を受診し、膵臓がんが発見された場合、これまでほとんど手術ができなかった。膵臓がんにかかればまず助からない、しかも余命は1カ月前後という認識でした」(藤野氏)

 ところが今、状況は一変した。膵臓がんのステージ4Aであれば、完治が見込める手術が期待できるのだ。ステージ4Aとは、がんが膵臓の周りの臓器や重要な血管に広がっているが、遠くの臓器には転移がない状態だ。

「アブラキサンという新しい抗がん剤が登場したのが大きかった。これにジェムザールという抗がん剤を組み合わせた化学療法と放射線療法をまず行います(術前化学放射線療法)。検査でがんが小さくなっていれば、手術ができる。手術ができるかどうかが、生死の分かれ目と言ってもいい。術後は再発防止のための抗がん剤治療が行われます」(藤野氏)

 膵臓がんと診断されても決してあきらめてはいけないと、藤野氏は強調する。ここで重要なのが、病院選びだ。

「膵臓がんの術前化学放射線療法はどの病院でも実施しているわけではありません。特に膵臓がんに対する放射線療法は高度な技術が必要で、やっていない病院も少なくない。病院選びのポイントは、肝胆膵内科があり、膵臓の専門医がいる。治療件数は多ければ多いほどよく、放射線医が常駐している病院が望ましい。自分が住む都道府県になければ、他府県にまで範囲を広げるくらいの意気込みで病院を探してください」(藤野氏)

 遠藤ミチロウの“復活”が待ち遠しい。

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