気鋭の医師 注目の医療

がんゲノム医療は日本人のデータベース構築が急務だ

桃沢幸秀チームリーダー(提供写真)

 今回の研究では、乳がんの原因となる11遺伝子を理研が独自に開発したゲノム解析手法を用いて1781個の遺伝子バリアントを同定。うち244個が病的バリアントと判明し、半分以上は米国のデータベースには未登録だったという。

「最も研究が進んでいるBRCA2遺伝子ですら今回同定した半分以上が新規で、他の遺伝子でも約2割程度しか登録されていませんでした。TP53遺伝子については、海外では100倍のリスクとされていますが、日本人では8.5倍と推定されました」

 ただし、がんの遺伝子検査の普及には一方で、遺伝情報に基づく差別を禁じる法整備も必要。ゲノム医療を慎重に進めていくためにも、しっかりとした日本人独自のデータベースの構築が重要になる。他のがんでも日本人の病的バリアントのデータベースの構築を広げていきたいという。

▽2003年東京大学農学部卒後、東京大学大学院農学生命科学研究科修了(博士・獣医学)。ベルギー・リエージュ大学研究員、その間、日本学術振興会特別研究員・海外特別研究員を経て、12年から理化学研究所所属。15年現職。18年から横浜市立大学大学院客員教授を兼務。〈所属学会〉日本人類遺伝学会、日本獣医学会

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