しかし、この理屈は間違っていることが、1991年の論文で示されました。この研究は60歳以上の上の血圧だけが高い患者(上の血圧160㎜Hg以上かつ下の血圧90㎜Hg未満)に対し、降圧薬を使ってプラセボと比較したランダム化比較試験です。
その結果は、6年間で10%の脳卒中を6%まで少なくするというものでした。
この論文は、高齢者の孤立性収縮期高血圧の治療によって脳卒中の予防ができることを示した歴史的なもので、同時に多くの論文を探し、読み、個別の患者の医療に生かしていくという根拠に基づく医療「エビデンス・ベースド・メディシン」(EBM)へと私を導いてくれた、私自身の人生を変えた論文でもあります。
生活と健康 数字は語る