■見逃されているケースが珍しくない
「ところが、日本ではガイドラインがなく、大半の医師の間で重要視されていません。症状だけから風邪やCOPDなど別の病気と診断されている可能性もあります」
徳田医師の元には、間質性肺炎や重症の気管支拡張症などの難病で苦しむ患者が全国からやって来るが、長引く咳の患者も診ることが多い。そのうち、50代以上で「この数年、風邪のたびに咳と痰が長引き苦しんでいる」と訴える患者については、HRCT(高分解能CT)を行うと、だいたい2人に1人くらいの割合で気管支拡張症が見つかるという。
なお、徳田医師は50代未満の人には、よほど気管支拡張症が疑われるケースを除き、CTを勧めていない。これらの年代のほとんどが吸入ステロイド薬で咳が治まるアレルギー性の咳だからだ。CTには医療被ばくの問題があり、過剰診療は避けなくてはならない。