医者も知らない医学の新常識

気温と病気・死亡率の関係 少し寒い時季が一番危ない!

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 気温が低下して急に寒くなってきました。こうした時季、体調を崩しやすいとは、誰でも感じることですが、そこに科学的根拠はあるのでしょうか? 

 気温と病気や死亡率との間に関連のあることは、以前から知られています。毎日氷点下になるような寒い地域では、凍死などが増えますし、灼熱の砂漠に住んでいれば、熱中症や脱水症が増えるのは当然です。ただ、今では住居の性能も向上し、衣類などの装備も充実していますから、昔と比べれば気温が健康に与える影響は少ないかもしれません。

 今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学誌に、中国全土の272の町において気温と死亡との関係を分析した研究結果が発表されました。それによると、住民の病気や死亡のリスクは気温が22度くらいで一番低く、それより高くても低くても増加していました。暑さと寒さの体に与える影響には違いがあって、寒さの影響は5日目くらいが最も高く、暑さの影響は初日が一番高くなっていました。

 そして、最も病気や死亡が多かったのは、意外にも少し寒いくらいの気温が続いた時でした。その原因は不明ですが、風邪などのウイルスの増殖が寒くなると活発になり、体の抵抗力が低下することが関係している可能性が指摘されています。

 少し寒い今の時季は、一番健康に気を付ける必要がありそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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