週7日なら要介護リスクが3割減 認知症を防ぐ入浴法とは

「毎日」で要介護のリスク3割源
「毎日」で要介護のリスク3割源(C)PIXTA

「毎日入浴すれば介護を受けず健康に暮らせる」――。こんな調査結果が高齢者を安心させている。

 千葉大学などの研究チームが2010年8月から12年1月まで65歳以上の男女計約1万4000人を追跡調査。夏に週7回以上入浴していた人は週に0~2回の人より要介護認定のリスクが約28%減り、冬の入浴では約29%減という結果が出た。研究の中心メンバーを務めた千葉大学医学部付属病院の八木明男医師に聞いた。

「なぜこうした結果が出たのかはこれから研究します。毎日の入浴で介護のリスクが約3割減るというのは大きな数字。入浴が認知症予防につながる可能性もありそうです」

 ある研究メンバーは、長時間労働が多く喫煙率の高い日本人が長寿なのは国際的な謎とされているが、入浴がひとつの要素なのではないかと指摘している。

 医学博士の米山公啓氏は「原因として考えられるのはリラクセーション効果」と言う。

「その昔、ベトナム帰還兵の中には戦場で極度の恐怖を感じたため記憶の中枢である脳の海馬が壊れ、記憶を失う人がいました。ストレスで副腎皮質ホルモンが出過ぎて脳の細胞が壊されるからです。要するにストレスは認知症発症の危険要因のひとつということ。毎日風呂に入り、副交感神経を活発化してリラックスすれば記憶力を維持でき、認知症を防げるわけです」

 毎日入浴する人はきちょうめんな性格で、健康管理に余念がない。そのことも要介護者の割合を押し下げているという。

 では65歳以上の人はどのような入浴をすればいいのか。

「お湯につかるのは副交感神経が活発化しやすい夜の時間帯で、就寝まで1時間は空けたほうがいい。41度のお湯に10分ほど入ってください。ポイントは心配事みたいな余計なことは考えず、ボーッと過ごすこと。一種の瞑想状態を目指すのです。好きな音楽を聴いたり、アロマの香りをかぐとさらにリラックス効果が出ます。シャワーだと、ずっと立った状態なのでリラックスできません」(米山公啓氏)

 ボケ防止のために、秋の夜長を“入浴メディテーション”で過ごしますか。

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