意外に知らないホルモンの実力

【オキシトシン】自閉症の治療薬として試される絆ホルモン

写真はイメージ)(C)日刊ゲンダイ

 腎臓に働きかけて尿量を調節する「パソプレッシン」ときょうだい関係にあるホルモンが「オキシトシン」だ。どちらも脳の視床下部でつくられ、その下にある下垂体後葉から分泌されている。構造も似ていて9個のアミノ酸からできている。東京都立多摩総合医療センター内分泌代謝内科の辻野元祥部長が言う。

「オキシトシンの体への作用は、古くから女性の分娩(ぶんべん)時に子宮を収縮させたり、乳腺を刺激して乳汁分泌を促すことが知られていました。しかし、男性にも分泌されていて、さまざまな研究で脳への作用が分かってきたのは近年です。パソプレッシンが『縄張り意識』や『仲間以外への攻撃性』を高めるのに対して、オキシトシンは『思いやり』や『信頼感』を高めるように働いていると推測されています」

 オキシトシンにはいくつもの別称がある。母親が我が子に愛情を注ぐようになる作用や、パートナーとの愛情を深めるように作用することから「愛情ホルモン」といわれている。また、性交渉やスキンシップで分泌が高まることから「抱擁ホルモン」とも呼ばれる。

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