腎臓を守る

指のこわばりや靴下の痕に注意 “SOS”をキャッチする方法

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 慢性腎臓病(CKD)は、人工透析に行きつく前から心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクが増す。

 しかし、たとえこうした心血管病の発症を免れたとしても、腎機能の低下は確実に尿毒症を招く。腎臓病専門医で「松尾内科クリニック」(東京・桜新町)の松尾孝俊院長が言う。

「腎機能が正常の5%以下に低下すると体中に老廃物というゴミがどんどんたまっていきます。それは全身の不調として表れます。これが尿毒症で、末期の状態です」

 尿毒症の主な症状は、頭痛や不眠といった頭部の問題から、アンモニアのような口臭、全身の倦怠感、視力障害、皮膚のむくみ、かゆみ、動悸や息苦しさ、尿量の減少、食欲不振や吐き気、下痢や便秘など多岐にわたる。こうなると透析療法なしには改善しない。

「貧血や骨粗しょう症も増えてきます。腎臓はエリスロポエチンというホルモンを分泌し、赤血球をつくり出す助けをしているほか、骨や歯の原料となるカルシウムが腸で吸収されやすいように、ビタミンDを活性化する働きがあります。腎機能の低下はこれらの作用を失わせるため貧血や骨軟化症、骨粗しょう症なども発症しやすくなるのです」

 問題は、こうした症状は他の原因でも起こり得るため、腎機能低下の症状だと気付かない人が大勢いることだ。

「尿毒症の症状は個人差が大きく、糸球体ろ過量(GFR値)が6段階中5段階のステージ4であっても、まったく自覚症状がない人もいます」

 その一方で、ごくわずかだが尿毒症の手前の段階で腎機能の低下に気付く人もいる。それは、尿とむくみに表れる。

「尿に血液中のタンパクが含まれるタンパク尿は腎臓の重要な症状です。細かい泡ではなく、よく泡立って蜂の巣の状態が長く続く尿はタンパク尿を疑います。末期の腎臓病になると夜間頻尿になったり尿量が極端に減ったり、増えたりします」

 全身にむくみが出て足は靴がきつくなる、靴下の痕がハッキリ残る、目の周りが腫れぼったい、指輪が抜けにくい、指にこわばりを感じるなどでむくみを自覚するという。

「とはいえ、症状では自覚するのは難しい。健康診断の尿検査、血液検査をよく見て、問題があれば腎臓内科を受診するのがベストです」

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